【ほぼ必要なし】医療保険【現役医師の見解】

医療保険は大体みなさん入っていると思います。
ですが国民健康保険に日本国民は全員加入しており、その制度を知らないで医療保険選んでいるとしたらそれは大間違いです。
国民健康保険の制度から考えていきましょう。

なぜ医療保険が必要か?

なぜ国民健康保険に入っているのに追加で医療保険に入らなければいけないのか?

そう聞くと多くの方はこう答えるでしょう。

もしもの時に困るし・・・

このもしもが具体的に説明できないのであれば今入っている医療保険は解約してください。

医療保険は病気になった時のお金を保証してくれるものです。

保険に入る理由は具体的になにか?

もしもの時とは以下のような場合が想定されます。

1.治療費が払えない。
2.保険適応外の治療で多額のお金がかかる。
3.入院するなら差額ベッドがいい。
4.収入源が減った時残された家族が生活できない。

ここで各項目について考えていきましょう。

1.治療費が払えない

国民健康保険に加入していれば治療費が払えないということはまずありません。

なぜなら

高額医療費制度という制度があるからです。

高額医療費制度とは

同一月内における医療費自己負担限度額の計算方法

簡単にいうと年収によって月の医療費上限額が年収によって決まっているということです。

つまり入院費や薬代が100万/月かかっても100万円払う必要はないということです。

もちろん最大まで毎月払えばどの年収帯でもかなりの負担になることは間違いないですが生活できない状況まで追い込まれることはありません。

なので医療費が払えなくて破産してしまうと怖いから保険に入るは間違いです。

2.保険適応外の治療で多額のお金がかかる。
3.入院するなら差額ベッドがいい。

こちらは実は高額医療費制度と関わってくるところで、差額ベッド、先進医療費はいくら払っても高額医療費制度を使えません。

つまり保険に入っていなければもし差額ベッドが必要、先進医療が受けたいなどあれば家計の負担が増えます。

4.収入源が減った時残された家族が生活できない。

これはその通りで収入が減れば家計の負担が増えるでしょう。

保険は「生活を維持するためのお金」を確保するために入る

じゃあやっぱり保険に入ってないとダメじゃないか!

違います。

医療保険は「生活を維持するためのお金」を確保するためにあります。

若い人がどれだけ入院する確率があるか知っていますか。

これは10万人あたりの外来受診数、入院数のグラフです。

入院数を見ると30代では1000人以下、つまり1%以下となっています。

確率が1%満たない入院の時の差額ベッドのために保険に入りますか?
差額ベッドくらい自腹で払ってください。

先進医療にも医療保険は使えますが先進医療の内容をご存知ですか?
先進医療は場所も限られており、その治療の受けている症例数が少ないためある意味リスクが高いです。

確率1%で入院してさらに先進医療が使える病気でさらに医療機関を移ることができる可能性はどれくらいなものでしょうか。

そして先進医療が全て高額というわけでもありません。

https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000192081.pdf

こちらの4ページから9ぺージにある右から2番目の列の「1件あたりの先進医療費」というので実際の先進医療にかかる費用がわかります。

例を挙げれば平成29年に最も多く(555件)行われた「多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術」で1件先進医療費は55万円です。

これは白内障という眼の病気で行う治療です。

白内障とは水晶体というレンズが濁って見えづらくなる病気です。

そのためその水晶体を人工レンズに交換する手術を行います。

白内障のほとんどの原因は加齢で60代でなるかたもいますがほとんどは70代以降での発症です。

若い方が白内障になる可能性はかなり低いです。

このように若いうちに先進医療が必要になる可能性は「非常に低い」のです。

もし何か質問・ご意見がある方がいたらコメントお願いします。

しかも先進医療だから既存の治療より優れているという保証はありません。

先進医療などしなくても日本の医療は全て最新の医療を取り揃えています。

本当に必要であれば様々な方法で医師は治療してくれます。

それほど日本の国民健康保険はすばらしいです。

住むところも食べるものもなくても道で倒れていれば誰かが救急車を呼んで病院に連れて行ってもらい、衣食住と医師の治療、看護師の看護の中で生活保護を受けて医療費を全て払えるところまで面倒を見てもらえます。

だから差額ベッド代や先進医療のために保険に入っているなら考え直した方がいいと自分は思います。

ただ収入源が入院した際の家計の負担については考えなければなりません。

貯蓄があればそれを切り崩せばよいのですが、若いうちは十分な貯蓄がありません。

そのため医療保険に入るのならば「若いうちで貯蓄が十分突然の入院に耐えられるくらい貯まるまで」をおススメします。

そして入るのであれば収入源に高い保険をかけます。たとえ収入がなくても病気になることで家事や育児など家庭の負担が増えるのであれば医療保険に入る意味は十分あります。

補足ですがもしもの安心が欲しい方はそれだけで保険に入る意味があります。ですがその安心を手に入れるためには具体的に入院1日いくら必要か計算することはできるでしょうか。保険に入っていること自体が安心だとするなら最も安い保険に入っておくべきです。あくまで医療保険は医療費が全額タダになるわけではなく、自分の払った額に応じて支払われるのできちんとした理由もなくただみんなが入っているから入るというのは避けたいところです。

がん保険は必要か?

先進医療に似たようなものですががんになった場合のみ保険料が支払われるがん保険というものもあります。

簡単に言うと、がんと診断される、がんの治療・手術を行うときに保険料が支払われます。

ここでがんの罹患率(がんになる確率)を見てみます。

年齢階級別がん罹患率(全部位 2016年) 男女 グラフ画像

50代でやっと0.5%という確率です。

がん自体はものすごくポピュラーな病気で年齢さえ重なれば2人に1人はなにかしらのがんになります。

じゃあがん保険入った方がいい?

それは考えなければいけません。

なぜなら若いうちはがんになる可能性はかなり低く、50代できちんと資産運用していれば万が一がんになった場合でも医療費で生活が困ることはないからです。

保険というのはあくまで「生活を維持するためのお金」と考えてください。

「がんになって100万(大体のがん保険は診断されると100万もらえます)もらえたラッキー!」なんて言う人はいません。100万は慰めにはなりません。

がん保険はがんを予防してくれません。保険に入っていてもなるときはなります。

もちろんがんになりやすくなった50代から入ると診断時100万もらうには月5000円程度の保険料が必要です。

なるかわからないがんのために月5000円も払うのであれば他に使うべきところはあるはずです。

5000円払うより近所で走った方がよっぽど健康で長生きできる可能性は上がります。

そしてがんになった時こそ「資産運用」で得た貯蓄を使うときです。

資産運用は保険でもあるのです。

つまりがん保険は実質不要です。

積み立て式、貯蓄型医療保険

では積み立て式、貯蓄型(掛け捨てでない保険)はどうでしょうか。

はっきり言うとただの損です。

日本人の「なんかお得そう」という心理を突いた商品なのです。

論理的に考えれば積み立て式の医療保険は不要であることがわかります。

先ほど言った通り保険は万が一のときに「生活を維持するためのお金」を得るためにあります。

「もしものことがあってもお金もらえたからラッキー!」と言いたいために保険に入るわけではありません。

積み立て型保険の圧倒的デメリットとして保険料が高い、途中解約すると損するが挙げられます。

「資産運用の一つとして強制的に貯蓄できるからいい」なんて言う輩がいますがあくまで保険の話なのに貯蓄を混ぜてしまうことがそもそもの間違いです。

なぜ保険会社がこのような商品を作ったのか。それは儲かるからです。

掛け捨てでない方がお得というイメージはもう植え付けられている方もいるかもしれません。

ですがそんな上手い話はありません。

東京海上日動あんしん生命 メディカルKit Rという商品をググって見て下さい。

ご指定のページが見つかりません

保険料を払った分で指定年齢になった時に余った分があれば帰ってくるとのいうものです。

このサイトを見ると「どうやっても私たちは損しなくない?」と思うかもしれません。

実はそのカラクリはお金が返ってきた後にあって、そのまま同じ補償内容を継続したければ他の保険会社の2~3倍の保険料を払う必要があります。

ではお金もらった後に解約すればいいかというと、お金が返ってきた時点で解約しても高齢で何らかの持病を持った人が入れる終身保険は存在しません。

つまり長生きすればするほど掛け捨てタイプを30代から終身保険として払い続けた人に比べ損になってしまいます。

長生きした時に役立つ保険なのにこれはあまり良い保険とは言い難いです。

保険とは商品

保険(積み立て型保険に限らず)とは保険会社が売りたい商品であり、別にみなさんの健康を守りたいわけではありません。(ちょっと極端な言い方ですが)

ただし、きちんと理解して使えば有用な商品もたくさんあります。

医療に関してはみなさん素人なのでもしもの時があったら困りますよなどと言われ高額な保険を契約してしまう方が多いと思います。

ですがあなたはすでに国民健康保険という保険に高い保険料をもらって加入しており、最新で適切な医療をいつでも受けられます。

国民健康保険はのさらにすごいところは医療費がかさむ高齢者になるとさらに負担額が減るところです。

医療費の一部負担(自己負担)割合について 詳細はPDF参照

しかも医療費控除の記事で書いたとおり、10万円を超えた医療費は控除の対象となります。ちなみに保険金を受け取るとその分は当たり前ですが医療費が減り、控除も減ります。

保険と資産運用は切り離せない関係です。

本当に今入っている保険が必要かどうか考えましょう。

生命保険、火災保険、自動車保険なども今後考察していきます。

自分の入っている医療保険

自分は夫婦とも共済の医療保険に入っています。

正直多少の入院(1ヶ月程度自分が入院)があっても生活の維持は可能なくらいの貯蓄はすでにあります。

生命保険も少し兼ねているので共済保険に入っています。

生命保険に関しては別のページでまとめます。

一応簡単にメリットとデメリットを

共済保険は利益を目的としていないため価格が安く、割戻金という全体使われなかった分の保険料が返ってくる制度があります。
終身保険ではない。
補償額が若干物足りない。
基本的に若い人ほど保険は安いのだが掛け金が一律(つまり若い時は若干損)
貯蓄型がない(これはデメリットではないですね)
デメリットの終身でない、補償額がもの足りないというのはきちんと資産運用をすることでカバーできます。
終身保険がないと怖いという人がいるかもしれませんが、先ほど示した通り、高齢になれば1割負担ですし、収入がなくなれば高額医療費制度により月の上限額も激減します。
貯蓄がそこそこあれば医療費で困ることはないはずです。
繰り返しになりますが資産運用は保険でもあります。
そしてその資産は医療だけでなく、万が一の災害や事故の時を含め様々な用途があるのです。
共済と民間の違いについてはまた機会があればまとめます。

まとめ

国民健康保険は最強の保険である。

保険は治療中の「生活を維持するためのお金」を得るためのものであって「病気になったけどお金もらえてラッキー!」のためではない。

がん保険、掛け捨てでない保険(積み立て型、貯蓄型)は基本的に不要。

資産運用で全ての「もしも」に備えよう!

節約
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コメント

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