この記事ではJ-REITに投資する価値があるのか自分の見解を示します。
みなさんご存知両学長のYouTubeでJ-REITのETFがおススメされていました。
果たしてこのETFをポートフォリオに組み込む価値がどこまであるのでしょうか?
Contents
J-REITの基礎知識
J-REITは、多くの投資家から集めた資金で、オフィスビルや商業施設、マンションなど複数の不動産などを購入し、その賃貸収入や売買益を投資家に分配する商品です。不動産に投資を行いますが、法律上、投資信託の仲間です。
投資信託協会HPより
何となくわかるようなわからないような説明ですね。
さらに説明すると
J-REITとは不動産投資の一種です。
不動産投資は不動産を購入し、家賃収入を得るのが基本ですが、まとまったお金が必要だったり、管理に手間がかかったりして大変ですね。
ですがJ-REITでは一般的な不動産投資と違い以下のようなメリットがあります。
- 小額で買える
- 流動性が高い
- 手間がかからない
- 複数の不動産に分散できる
さらにJ-REITは利益の90%超を配当すると法人税が実質的に免除されるため非常に配当性向(利益を配当として株主に還元する割合)が高く、とても高配当になっています。
より簡単に言えば
手軽に家賃収入がもらえる不動産投資
と言えます。
J-REITへの投資方法
J-REITは株とほとんど同じように取引できます。
個別株と同じように一つの会社に投資することもできますし、投資信託やETFでまとめて投資することもできます。
両学長おススメETF
両学長の動画では毎月配当金をもらえるJ-REITのETFの組み合わせとして以下のようなETFがおススメされていました。
ETFのメリットとしては
- 個別J-REITに投資するより分散できる
- 配当金が複数月に受け取れる
などが挙げられます。
特に複数月配当金が受け取れるJ-REITのETFを組み合わせることで毎月配当金を受け取ることができます。
キャッシュフローの管理がしやすいですね!
おススメされていたETFの組み合わせは以下の通りです。
どれも東証REIT指数というインデックスに連動したETFです。信託報酬も全て一緒ですね。
一応チャートも確認しておきましょう。
若干の違いはありますが同じインデックスに連動しているので値動きもほとんど一緒ですね。
ただお分かりになるように株に比べREITはコロナショックによる影響を大きく受けています。
外出自粛によりホテル業界、オフィス業界、外食産業、ショッピングモールなどが大打撃を受けたからですね。
次に配当利回りも見てみましょう。
2556 | 1343 | 1488 | |
---|---|---|---|
純資産額(億円) | 337.14 | 3304.3 | 1235.35 |
10口基準価格(2020/7) | 16960 | 17970 | 17286 |
直近4回分分配金合計額(10口) | 473 | 699 | 693 |
年配当利回り | 2.78 | 3.54 | 4.01 |
2.78%~4.01%とばらつきはありますが、コロナショックのさなかで分配金の配当月の違いでばらついているだけなので特別1488が優れているというわけではありません。
それでも税引前3.5%の配当利回りといったところです。
毎月3万円の分配金を得るためには約1300万円必要です。
430万円ずつこれら3つのETFに投資すれば月3万円の分配金が毎月得られます。
このように「安定したキャッシュフローを産むことができる」と多くの方がJ-REITを保有しています。
ポートフォリオに組み入れる価値は?
金のETFであるGLDをポートフォリオに組み込むべきか
で検討しました。
同様にこれらのETFはどうでしょうか。
結論から言うと自分はあえてポートフォリオに組み込む必要はないと考えます。
理由は以下の3つです。
- 株に比べてリスクが低いわけではない
- コロナショックでは株より値下がり率が大きく、回復も遅かった
- 株とほとんど相関している
一つ一つ説明します。
1.株に比べてリスクが低いわけではない
まず何よりもリスクとリターンを知らなければ話にならないので調べて見ましょう。
この3つを代表して一番純資産が大きい1343(NEXT FUNDS REIT Index ETF)を見てみます。
Yahoo financeより
10年ではリターン10.46、リスク17.19となっています。シャープレシオは0.608です。
VT(全世界株式ETF)の10年でのリターンは9.37、リスクは14.26、シャープレシオは0.657です。
シャープレシオは株よりやや低い程度です。
しかし、ここで注目すべきなのはリスクが低いわけではないということです。
投資におけるリスクとは値動きのしやすさでしたね。
こちらは東証REIT指数というJ-REITのインデックスと日経平均を比較したものです。
同じように値動きが激しいということが感覚的にわかります。
実際にVTよりここ10年でのリスクはむしろ高いです。
つまり不動産投資と言えどもJ-REITは株式と同じくらいハイリスクハイリターンなのです。
2.コロナショックでは株より値下がり率が大きく、回復も遅かった
先ほどの日経平均との比較を見てみます。
コロナショックにより株価は30%程暴落しました。一方J-REIT指数は50%の大暴落です。
しかもその後の反発も株価は7割程度戻ったのに対し、REITは3割程度しか回復していません。
暴落しやすく、戻りづらい、しかもリスクやリターンは株価と同じなのです。
さらにこちらは明確な根拠とは言えませんが、ホテル事業、オフィス事業は今後成長し続けると言えるでしょうか。素人の自分としては数年では大きく変わらないと思います。
3.株との相関係数が高い
GLDの場合、株価とあまり相関していないため、ポートフォリオに少し組み込むことでポートフォリオ全体のシャープレシオを上げることができました。
しかしREITはどうでしょうか。
やや古いですがピクテ投信投資顧問の2003-2017の月次リターンの相関係数を示した表です。
当たり前ですが金の相関係数は低いですね。
国債は逆相関しています。これが株式のリスクヘッジに債券が重要である理由です。
一方REITはどうでしょうか。
みなさんがメインで保有する日本、米国、新興国株式いずれにおいても高い相関係数を持ちます。
つまりリスクヘッジ(=シャープレシオ改善)のためにシャープレシオの悪いREITをポートフォリオに組み込むくらいなら債券や金をポートフォリオに組み込んだ方が効率が良いことがわかりますね。
まとめ
以上3つの理由からREITをポートフォリオに組み込む理由は自分は見つけられませんでした。
- シャープレシオの改善のため→債券を入れる
- 配当金目的(キャッシュフロー目的)であれば→高配当株を入れる
で対応できてしまうからです。
しかもコロナの影響がどれほど続くかわからない以上、尚更投資しづらい環境と言えます。
おまけ
同様の理由で自分はバランスファンドをおススメしていません。
人気のあるバランスファンドであるeMAXISSlimバランス(8資産均等型)の内訳を見てみましょう。
まずこのように美しい割合にする意味が不明ということは前にお話しました。笑
一見バランスファンドという名前の通り株式のみに比べリスクが減りそうな印象は受けるかもしれませんがリートや新興国債券はむしろ株式以上にリスクが高い場合もあり、実質先進国債券と国内債券以外は非常にハイリスクな商品になっています。
むしろ新興国債券や新興国株式はリスクに比べリターンが低いこともあり、このポートフォリオは散々です。
ちなみにこの商品の5年でのリスクは11、リターンは1.16、シャープレシオは0.105とかなり厳しいものになっています。
おまけ2
自分は高い配当利回りにつられてインビジブル投資法人というJ-REITを購入しました。
ですがコロナショックで配当金が98.3%も減配し、含み損もあります。
高配当であることはリスクも伴うものだと勉強になりました。
当分REITに投資することはないと思います・・・
コメント
[…] ちにこのバランスファンドはないな・・・と感じるはずです。 こちらでもバランスファンドをおススメしない理由を記載しています。 J-REITで不動産投資【投資する価値はあるのか?】 […]
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