今まで行われていたPCR検査の他に抗原検査や抗体検査などもたくさん情報が得られ、有効に活用する方法がまとまってきました。
厚生労働省HPに詳しく書かれていますが若干専門的な内容があるため一般の方(非医療従事者)向けにこの記事を作成しました。
検査とは何か?
まず始めに検査の目的を話します。
当然と言っては当然ですが検査は
- (新型コロナウイルス感染であることを)診断する=「陽性の確定診断」
- (新型コロナウイルス感染であることを)除外する=「陰性の確定診断」
目的で行われます。
こちらの記事に書いていますが
- 感度が高い=除外に優れる(専門用語では除外診断と言います)
- 特異度が高い=診断に優れる(専門用語では確定診断と言います)
となります。
感度・特異度という言葉はニュースなどで良く取り上げられますが、なかなか理解するのが難しい言葉です。
ざっくり除外に優れるか診断に優れるかで区別しましょう。
検査の種類
現在新型コロナウイルスの検査として
- PCR検査
- 抗原検査(定性・定量)
- 抗体検査
があります。
それぞれメリットやデメリットがあります。
検査の詳しいメカニズムなどは知る必要はありませんので必要なところだけ簡単に説明していきます。
1.PCR検査
保険適用:2020年3月6日
検体:痰、鼻咽頭ぬぐい液(綿棒を鼻に入れて採取)、唾液
感度:約70~80%程度(正確には不明)=高い
特異度:99.9%=とても高い
検査時間:数時間+検査機関への搬送時間
特異度は高いですが、感度はそこそこです。なので診断には向きますが除外には不十分な面もあります。
コストも高く、時間もかかりますが現時点では「陽性の確定診断」「陰性の確定診断」がどちらも行える検査です。
2.抗原検査
抗原検査には定性検査(陽性か陰性かしかわからない)と定量検査(陽性の場合ウイルスの量もわかる)があります。
定性検査は簡易的検査、定量検査は精密検査とざっくり理解しても構いません。
抗原定性検査
保険適用:2020年5月13日
検体:鼻咽頭ぬぐい液(綿棒を鼻に入れて採取)
感度:不明(発症初日や10日目以降ではPCRより低い)
特異度:不明(PCRと同程度)
検査時間:30分
感度・特異度ははっきりわかっていません。抗原定性検査陽性の場合は確定診断とすることになっているので特異度は高い(PCRと同程度)と考えられます。ですが感度はPCRよりも低く、陰性であっても発症(症状が出た日)初日や10日目以降の場合はPCR検査も行い、陽性であれば確定診断となります。フローチャートも載せておきますがややこしいですね。
発症2日目~9日目に抗原定性検査が陰性であればコロナであることを否定できるという根拠は発症2日目~9日目の抗原定性検査とPCR検査の結果はほぼ同じという報告があるからです。
ちなみに厚生労働省より「現時点では、無症状者に対する使用、無症状者に対するスクリーニング検査目的の使用、陰性確認等目的の使用は、適切な検出性能を発揮できず、適さない」と明記されている。
長くなりましたが、まとめると
PCR検査よりも簡便でクリニックなどでも即座に検査できるところが魅力。でも陰性でも感染初日や10日目以降などウイルス量が少ない場合は偽陰性(本当は感染しているのに検査は陰性)になるのでPCRで再チェックが必要です。つまり「陽性の確定診断」と「陰性の確定診断(発症後2-9日の患者のみ)」が可能な検査です。
ということになります。
抗原定量検査
保険適用:2020年6月25日
検体:鼻咽頭ぬぐい液(綿棒を鼻に入れて採取)、唾液
感度:不明(PCRと同程度)
特異度:不明(PCRと同程度)
検査時間:30分+検査機関への搬送時間
改良された抗原定性検査です。専用の機械が必要で定性検査に比べ敷居は上がっていますが、判定にかかる時間はPCRに比べ短くて済みます。
また退院可能の判断にPCRの代わりに用いることができます。
ただ結果が低すぎたり、高すぎたりする場合は必要に応じてPCRで再チェックする必要があります。
まとめると「陽性の確定診断」「陰性の確定診断」ができ、ほとんどPCRと同じように扱うことができます。ただPCRの方が信頼度は高いため少し結果に違和感があればPCRで再検査します。PCRよりも簡便なので今後普及していくと考えられます。
3.抗体検査
現時点で診断に使用できると承認された検査ではありません。世界的にも診断として用いるのではなく、疫学調査(研究)などで使用しています。
一般的に抗体を持っているとその病気に
- 感染したことがある
- 感染(重症化)しにくくなる
と言えます。
ですが新型コロナウイルスに関してはこれらは証明されておらず、抗体検査陽性の人が陰性の人と何が違うのかは不明です。全く変わらない可能性も十分あります。
基本的には
にも書いた通り、一般の方には不要な検査と考えられます。
検査を受けるべき人
検査を受けるべきかどうかは医師が判断します。
どの検査も医師が必要と考えれば無症状でも検査しますし、有症状(発熱や咳など)でも検査しないこともあります。
無症状の方が病院にわざわざ行って医師に検査の必要性を確認することもないと思われますので無症状なら検査を受けるように言われたら受ければ問題ありません。
大抵の場合は職場や学校でクラスター(集団感染)が起きた時でしょう。
有症状者は病院に行って医師の判断を仰ぐことになりますが、肺炎もなく、コロナ患者と接触歴もない場合は大抵通常の風邪と同じように経過観察になるかと思われます。(心配なら行くしかないですが・・・)
逆にコロナ患者と接触歴があったり、症状が強い場合は一度病院に行った方が無難です。注意すべき点はいきなり病院に行くと他の患者様に感染させてしまうかもしれないので必ず電話などで確認してからにしましょう。
簡易的にフローチャートを作成しました。もちろん施設や地域によりいきなりPCR検査をやったりする場合もあるかと思います。
検査は低コスト・低侵襲(患者への負担が少ない)ものから行うのが基本なのでもし全ての検査が迅速にできるのであればこのようなフローチャートになると考えます。
あくまでイメージを掴むものとして見て下さい。
まとめ
検査自体はいろいろありますし、感度や特異度などわかっていない部分も多いです。
ですが現時点(2020年8月)での各検査について理解を深めることは不要不急をしないことや余計な不安を抱えないことに繋がるのでここで考えておきましょう。
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